classics-disco’s blog

西洋古典学を学ぶ一学生のブログ

ギリシア語ビギナーの道

 先学期を以てようやく、僕は初級文法の授業と、新約ギリシア語を履修し終えた。春休みに入ったので、何か別のギリシア語で書かれたものを読んでみようと図書館へ行き、まず僕が手に取ったのは『イリアス』。古びた『イリアス』を開いてみた。無理だった。コメンタリーを読んでも全然わからん。諦めて、次に、僕はプラトン『饗宴』を借りて帰り、ノートにギリシア語を写して辞書を引いて分析を始めた。しかしこれもむずい。『饗宴』はプラトンの中でお気に入りの作品なので(プラトンの作品全部は読んだことないにわかなのですが)いけるかなと思ったが無理だった。よくよく考えると僕のギリシア語学習歴はたかだか一年足らずである。だったら、そりゃ仕方ないよなと自分に言い聞かせるもやはり春休みまるまるギリシア語をさぼるわけにもいかず、何を読むべきか悩みに悩んだ。ネットで情報を集めたり、大学のシラバスで過去の「ギリシア語講読」の授業でで何を読んでいたのかを調べたりした。そうして僕はようやくプラトン『クリトン』がよさそうという情報を得、早速アマゾンで購入した。クリトンは日本語だと本当にすぐ読めてしまうくらい短い。届いた本を開いてみると、ギリシア語本文は20頁しかないので「これは読めそうだ」という気にさせてくれる。これは僕のようなギリシア語ビギナーにとって、モチベーションを保つためにとても重要である。ギリシア語ビギナーの皆様、『クリトン』おすすめです。読み切れそうでワクワクします。では、『クリトン』のギリシア語がどんな感じなのか、ちょっと紹介してみたいと思います。

 

 

Σωκράτης
τί τηνικάδε ἀφῖξαι, ὦ Κρίτων; ἢ οὐ πρῲ ἔτι ἐστίν;
ソクラテス「なぜこの時間に君は来たのかい、クリトン。あるいは、まだ早いんじゃないかい。」
Κρίτων
πάνυ μὲν οὖν.
クリトン「確かにそうだ。」
Σωκράτης
πηνίκα μάλιστα;
ソクラテス「今は何時くらいだろう」
Κρίτων
ὄρθρος βαθύς.
クリトン「日の出前だ」

こう見てみると、冒頭というのもあり、一文一文が短いことがよくわかります。そして、文章が短い文文法のおさらいがやりやすいです。例えばἀφῖξαιは、パッと見原型が判らなかったのですが調べるとἀφικνέομαιの完了形だと判りました。こんな感じで復習になります。頑張って近いうちに読み切ろうと思います。余談ですが、『饗宴』とは段違いに難易度が違うので、プラトンは意識的に難易度を変えて対話編を執筆したんじゃないか?なんて思いました(あくまで

 

Plato: Crito (Bcp Greek Texts)

Plato: Crito (Bcp Greek Texts)

 

 

推測ですが…)。